NPO法人で働く、と聞いてあなたはどう思いますか?
- 非営利団体だから営利はないんだよね?
- NPO法人ってボランティアだから職員に給料は出ないんでしょ?
こんな風に思う方が多いのではないでしょうか。
NPO法人の仕事にいくらやりがいがあっても、給料がもらえないのでは困りますよね。
しかし、実はNPO法人に勤めても給料がそこそこもらえる、という事実を知ればあなたの先入観が変わるかもしれません。
就職を考えた時、NPO法人を就職先のひとつとして候補に入れることもできるのです。
この記事では、NPO法人の仕組みや平均給与、実際の声を検証し、あまり知られていないNPO法人の給料の実態をご紹介します。
NPO法人とは?ボランティアじゃないの?
そもそもNPO法人とはどのような団体なのでしょうか。
内閣府NPOホームページによると、以下の通りになります。
「NPO」とは「Non-Profit Organization」又は「Not-for-Profit Organization」の略称で、様々な社会貢献活動を行い、団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない団体の総称です。
したがって、収益を目的とする事業を行うこと自体は認められますが、事業で得た収益は、様々な社会貢献活動に充てることになります。
引用元:「内閣府NPO法人ホームページ」より
この規定によると、「団体の構成員に対し、収益を分配することを目的としない」とされていますから給料が出ないと考えられがちですが、活動を維持するために収益を使うことはできます。
ボランティアは、個人個人が集まって無償で行なう事業ですから、そもそも収益をあげる目的のものではありません。
それに対してNPO法人は、ボランティアと似たような言葉の「非営利団体」ですが、無償で行なう事業を行なっているわけではないのです。
この「非営利」というのは、収益をあげてはいけないという意味ではなく、株式会社のように収益を分配することはできないという意味です。
株式会社と違い、NPO法人が事業で得た収益は社会貢献活動に充てるものであり、分配することはできませんが、団体が活動するための維持費用には充てることができます。
ですから、運営維持に欠かすことのできない職員の給料ももちろん出すことができるのです。
NPO法人職員の平均給与はいくら?
非営利だからといって、すべてのNPO法人の給料が雀の涙ほど…というわけではありません。
最近では、理念やミッションを達成させることが最重要であり、そのための優秀な人材確保が大切という考えが大きくなってきましたから、高水準の給料を準備するNPO法人も増えているようです。
では実際のデータを調べてみましょう。
独立行政法人労働政策研究・研修機構による平成27年のデータによると、NPO法人の平均年間給与額は約260万円です。
一般企業の平均給与に比べると少なく感じられますが、近年ではその差も縮小傾向にあります。
正規職員の年間給与額(団体調査、平均値)
引用元:NPO法人の活動と働き方に関する調査(団体調査・個人調査) ―東日本大震災復興支援活動も視野に入れて―
この表を見ると、高い人は約372万円で低い人は約219万円となっているのがわかります。
高水準の約372万円でしたら一般企業の給料とそれほど変わりませんし、平均の約260万円でも最低限の生活をすることは可能ですよね。
意外ともらえるんだ、と思った方も多いのではないでしょうか。
NPO法人に勤める人の声
それではNPO法人に勤める人のリアルな声を見てみましょう。
この方は、とあるNPO法人での面接の際に、「ここの給与がメインの収入になりますか?」と聞かれ「ハイ」と答えたら残念そうな顔をされたというツイートをしています。
メインの収入としてはおすすめできないということなのでしょうか。現実はなかなか厳しそうですね。
しかし、給与改善に力を入れているNPO法人もあります。
認定NPO法人フローレンスでは、民間企業と変わらない給与水準まで引き上げる処遇改善を行なっているようです。
NPO法人は就職先としてどうなのか
このように、一口にNPO法人といっても給料の差は大きいといえます。
私の知り合いに自分でNPO法人を立ち上げて活動している方がいますが、独身ということもあって生活に困っている感じはありません。また、お歳のわりに清潔感があっていつも若々しい雰囲気です。
人の役に立ち社会や地域に貢献しているという意識が、いきいきとした見た目に現れるのかもしれません。
給与面だけでなく、やりたいことを見据えた就職先としてNPO法人はかなりアリなのではないでしょうか。