副業解禁元年から2年が経過ました。
働き方改革の一環として始まった取り組みに、変化を期待した人もいたと思います。
でも、案外「何も変わらない」と思いませんか?副業は、これまでもこれからも、隠れてこっそりやるものに変わりありませんよね。
地方では、就業規則を変更していない企業も多々あるのが現状です。
副業について、労働者の80%近くが「興味がある」と答えているにも関わらず、まだまだ副業解禁は“絵に描いた餅”です。
副業したくても、二の足を踏んでいる人も多いと思います。
副業が浸透しないのは、企業が、リスクや課題を懸念しているからです。
この記事を読むと、副業解禁が進まない5つの問題が整理でき、どうすれば、副業を認めてもらいやすくなるかがわかります。
副業解禁の会社が増えないのはどうして?
社員の健康と労働時間管理の問題
長時間労働が是正され、ひと昔前のような月80時間以上の残業は激減しています。
しかし、副業は、企業には把握できない労働時間であり、過労死レベルに達する危険性を大いにはらんでいます。
万が一、副業による過労死で、補償問題に発展した場合、遺族に、いくら「副業は本人の希望だった」と説明しても意味がありません。
健康安全対策として、副業を許可制とし、事前に、健康問題への影響をきちんと説明、定期的に面談をして、副業の時間や状況を把握することが必要です。
また、二つの企業に雇用される場合、超過分の割増賃金をどちらが払うのかという問題も出てきます。
基本的には、後に契約した企業が払うことになります。
採用されたいがために、労働者が本業を隠す可能性もあり、トラブルになりやすいです。
情報漏洩の問題
開発や研究部門の社員が副業すると、企業独自の技術が外に漏れてしまう危険があります。
顧客情報の流出も会社が最も恐れる事態です。
本業がおろそかになる
アメリカの連邦労働局の研究では、副業する社員と、しない社員で、本業へのパフォーマンスや意欲に差はない、という結果が出ています。
しかし、終身雇用制度が前提だった日本の企業は、副業にマイナスイメージを持っているので、このような考え方が根強く残っているのでしょう。
優秀な人材にやめられたくない
大企業は、いつでも優秀な人材が集まってきますが、中小企業はせっかく育てた優秀な社員を手放したくありません。
転職されれば、次の優秀な人材を確保するのが困難だからです。魅力的な外の世界を見せたくないのです。
終身雇用制度とは、収入の安定を保証する代わりに、社員のキャリアの自由を奪い、忠誠を求める制度でした。
しかし、今の中小企業には、社員の人生を預かり、保証する体力はありません。
古い体質は、自由を奪い、忠誠を求めるので、副業=悪いこと、という公式が成り立ちます。
企業が収入の安定を保証できない今は、真逆の論理が正解です。
副業を解禁し、キャリアに自由を与えることが、定着率アップにつながると言えます。
脱税の問題
その他、現代の副業は、収入を把握しづらいという特徴があります。
脱税の問題や、副業が、経済にどんな効果をもたらすか、客観的なデータをとることが難しくなります。
以前の副業は本業の他にもう一か所から雇用されるタイプだったので、収入を把握できましたが、今の副業は、YouTubeやクラウドソーシング、民泊など、個人が事業主として行うタイプが増えているので、本人の確定申告によって、はじめて収入として把握されます。
収入の申請方法に課題があるのが現状です。
副業解禁はこれからも浸透しないのか
現段階で、円滑に副業を始めるには、企業とよくコミュニケーションをとり、企業が抱える様々な懸念について、労働者側から安心材料を提示することが必要だと考えます。
- 「トータルの労働時間は○○時間になる予定です。過労にならないよう健康管理に努めます」
- 「わが社の機密は、決して外部には漏らさないことを約束します」
- 「副業はわが社とは関連のない内容であり、わが社が損害を被ることはありません」
- 「今後わが社のお役に立つためにも、キャリアを広げたいと考えております」
上記のように、ポジティブに伝えましょう。
本業で必要とされている人材であれば、必ず動いてくれます。
特に、地方の中小企業では、副業解禁は前例のないことかもしれません。
副業を申し出る以前に、企業と信頼関係を築いておくことも大切になります。
仕事において信頼できる社員が副業し、本業にも良い影響を及ぼせば、それが企業にとっては実績となります。
少しずつ副業解禁が浸透していくでしょう。
もともとの信頼関係が築けていない状態で、副業を申請した場合、悪い印象を持たれる可能性があるので注意しましょう。
まとめ
副業解禁の企業が増えない原因は、下記の5項目があげられます。
- 社員の健康と労働時間管理の問題
- 情報漏洩の問題
- 本業がおろそかになる
- 人材の流出
- 収入の把握が不確実
副業を認めてもらうには、本業での信頼関係を前提に、企業が抱える懸念を払拭する、具体的な材料を提示することが必要です。
いかがでしたか。
今回は副業解禁の問題と企業に副業を認めてもらう方法を解説してきました。
ぜひ、しっかり副業を認めてもらい、多様なキャリアを築いてください。