『口約束と給料が話と違う』と、泣き寝入りしない為の知識

転職知識

就職・転職活動を行う際に重視される点は人それぞれです。
「やりがい」「成長性」「労働時間」「休日」「労働環境」etc……

その中で生活に密に関わる重要な項目の一つは「給料」ではないでしょうか?

就職活動はもとより、20〜30代を始めとして転職を行う事が一般的となった昨今において、今よりも良い環境で勤務を行い、自身のライフスタイルを確立させる為に給料の額を増やしたいと思う事は当たり前の事であります。

しかし、現実とは異なった求人内容や、面接時に受けた説明によりトラブルに発展する恐れもある事も事実です。

一部の悪質な企業の中には、意図的に給料の計算の方法を曖昧にしたり、実際の支給額より多く見せ、求人を行うものまで存在します。

現に筆者も以前転職活動を行う際、こうしたトラブルを経験した1人です。

(のち、筆者は社会労務士資格の勉強をする機会があり、求人内容、面接時、実際の額面の相違した場合の合法性・違法性についての知識をつけることが出来ました。)

今回はそうした企業に当たらない為の対策や、もし入社してしまった時、労働者が泣き寝入りの対応をされない様に、法律を交えつつ、分かりやすくご紹介したいと思います。

よく起こるトラブル一例

では現実に起こりうる具体的なトラブルのケースについて想定し、それぞれの考察ついて紹介します。

  • 【ケース1】面接時に説明を受けた内容と契約時の金額が違う。
  • 【ケース2】残業代(全額、又は一部)が支給されない。
  • 【ケース3】契約時の給与は支給されるが、罰金や減給が頻繁に発生される。

雇用契約書を交わす前の話と違うケースの法解釈

求人者が雇用契約を結ぶ前に給与について確認する場(求人票や面接等)は多々あります。
当然ですが、雇用の契約は最終的な雇用契約を結ぶまでは確定していません。

求人内容はあくまで応募の指標になる為、求職者の経験やスキルによって変更される事は多々ある為です。

そして、企業はトラブル防止の為、原則として雇用契約締結前に、書面による給与条件の明示(雇用契約書・労働条件通知書等)義務とされております。(※罰則規定なし)

しかし、罰則がない事をいい事に書面を提示せずに採用時の金額を変えられて、求職者はたまったものではありません。

こうした場合、求職者は泣き寝入りする必要はありません。

たとえ採用時の口頭による提示であっても、雇用者との内容に合意があれば、労働契約は成立し、その労働条件は有効となります。

小さな会社の場合こうした、書類の有効性の理解が乏しい場合が有りますので、雇用契約書を取り交わすことは、企業、労働者共に実務的にはかなり重要であるといえます。

残業代が支給されないケースの法解釈

残業代の不支給は悪意あるブラック企業であれば、頻繁に発生するケースといえます。その為、ブラック企業がよく使用する不支給の手法と罰則について紹介します。

①管理職の為残業代が出ない。

いわゆる「名ばかり管理職」と呼ばれるものです。
管理職は定義が曖昧で、会社が必要に応じ、独自で定める事が出来ます
そして、労働基準法には管理監督者には割増賃金を払わなくていい事が記載されています。

しかし、労働基準法の管理監督者には条件があり、経営権や人事権等の実際の権限をもち、それに見合った給与を支給される者を管理監督者としています。

その為、「名ばかり管理職」は該当しないと考えるのが普通です。

②サービス残業を強いる

会社が強権的にサービス残業を強いることもあれば、「月に45時間以上残業しても残業代はでない」という制限を設けている会社もあります。

これは、労働基準法の36協定という、長時間労働を防ぐ為の協定で、月の残業時間を制限していることが背景にあります。

会社で残業を認めていないのであれば、労働者は余分な残業は止めて、定時で帰る努力をしましょう。それでも明らかに時間内に終わるようでない仕事量の場合、非があるのは労働者ではなく、会社側です。

その場合、残業代は支払われるべきですし「会社で残業が禁止されている」という会社の決まりは通用しません。

③みなし残業制の悪用

みなし残業制とは、従業員の労働時間にばらつきがあり、管理者が従業員の勤務時間を確認ができない場合において、あらかじめ設定した残業代を含めて給与を支給する制度です。

本来、みなし残業制は「○時間分の残業代◯万円分」と明確にしておかなくてはならず、あらかじめ定めた残業時間を超えた場合は、追加で残業代を払わなくてはなりません。

尚、上記の違反について、あまりに悪質と判断された場合、使用者は罰金・逮捕される事もあります。

減給の制度があり、罰金として減給されるケースの法解釈

減給や損害賠償には法律によるルールが想定されています。つまり、企業が勝手に決めていいものではなく、法律に乗っ取った方法で行わなければなりません。

①減給のルール

減給とは労働基準法で定められた懲戒処分の一種であり、その適用の要因として『減給に値するほど多大な損害』で、『労働者が重度の過失や故意に起こした出来事』が求められます。

つまり、遅刻や単なるミス、軽度の事故で発生した損害程度では、減給処分を下す事は相応しくないといえます。

計算方法

  • 限度額は問題行動1回に対する減給処分は、1日分の給与額の半額。
  • (問題行動が複数回ある場合)1か月の減給額の合計が月給額の10分の1以下に設定する必要がある。超える場合には翌月に繰り越す。

例を挙げると

【問題行動】 無断欠勤を3回して会社に損害を与えた。
【給与額】  給与22万(月22日勤務)
→1日当たり、日当1万円

この場合の減給の限度額は、1万円の半額(5千円)× 3回 = 1万5千円の減給という事になります。

②損害賠償のルール

企業が労働者に損害賠償請求を行う際は、民法の損害賠償と比較して、労働者と企業の力関係を鑑み、より労働者保護の側面を持った方法(社会通念上妥当と思われる理由、合理性、時期、金額)で行われ無ければなりません。

具体的には以下のルールが有ります。

  • 労働契約不履行について違約金の禁止
  • 事前の損害賠償額を定める事の禁止
  • 無許可での賃金との相殺の禁止(労働者が許可をしても相殺には一定の基準があり)

つまり、就業規則や労働契約書に減給や損害賠償の規定があったとしても、単に労働者が意図しないミスを起こしたからといいて、請求する事は出来ないという事です。

もし上記のケースに該当するときの対処法

こうしたトラブルに見舞われた場合、一人で対応することは非常に難しく、会社との力関係を考えれば、専門家の力を借りる事が得策といえます。

しかし、法律が絡む問題は、「どんな内容の相談をしたいのか」によって相談先の選び方が変わってきます。下記にこうしたトラブルを相談できる機関と、それぞれの特長を紹介します。

  • 弁護士
    →残業代計算・証拠獲得・示談交渉の専門家
  • 労働基準監督署
    →賃金・残業代の不払いに対する指導
  • 労働条件相談ホットライン
    →労働条件や残業代の疑問に関する回答
  • 総合労働相談センター
    →専門家のあっせん

労働条件の相違をめぐってトラブルが起きた場合はなるべく早めに相談し、証拠を保存しておくように心がけましょう。

給与は労働の対価です。

不当と感じる扱いに泣き寝入りする必要はありません。

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