副業禁止の会社は、本当に副業はしてはならないのか?

転職知識

現在、政府主導による働き方改革の一環で副業を解禁する企業や、コロナに対する働き方の変化から、副業に対してのニーズは更に加速しています。

しかし、現在お勤めの方であれば、副業を始めて本業に支障をきたしては本末転倒と言えます。
そして企業の中には、就業規則で明確に禁止されているケースもあります。

余計なトラブルを避ける為にも副業が本当に認められないのかご紹介したいと思います。

高まり続けるニーズと企業の現状

最近はスマホやネットで気軽に出来る副業も増えてきています。

多様化する働き方の中で副業を「やってみたい」と興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

事実として、全国就業実態パネル調査のデータによると、現在は副業をしていませんが、今後したいと思う人の割合は32.6となっています。

実に3人に1人が副業を希望している現在と言えます。

(参照・リクルートワークス研究所全国就業実態パネル調査(JPSED)2019 )

しかし、実際には企業が全面的に副業を認めているケースは3割前後と言われています。

政府の働き方改革の一貫で、副業を推進する動きは2018年の副業元年から、継続的に企業に働きかけは行っていますが、企業側の対応が追いついていないのが現状と言えます。

副業は本当に禁止なのか?

結論からいえば、法律では副業は認められています

まず、詳しく条文の説明の前に、法律と就業規則などが相反する時の力関係について記載します。

法令(強行法規)>労働協約>就業規則>労働契約

これは、就業規則は一方的に使用者が作る事が出来、労働協約は使用者と労働組合が対等の立場で取り決めたものだからです。

したがって、労働協約に違反する就業規則や労働契約は、その部分が無効となります。

法令における副業を禁止する事ができない根拠としては、憲法第22条1項があげられます。

憲法第22条1項では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転および職業選択の自由を有する」と定めています。

つまり、休日や終業後に勤務先以外の仕事をする事は、国民の職業選択の自由として保証されているという事です

その結果、たとえ就業規則において副業が禁止されていたとしても、法的な拘束力はもちえません

むしろ、企業が就業規則をはじめとした契約により、全面的な副業禁止にする事は法律上許されないという見方が一般的と言えます。

もし副業で懲戒を受けたら?

例えば、副業を行う社員に、企業が就業規則を理由に再三の注意を行い、改善が見られない為、懲戒免職を行なったとします。

この場合、会社側は従業員の憲法上の権利を認めず不当に『解雇権の乱用』を行なったとされ、当該免職は不当解雇に該当する可能性があります。

しかし、憲法で保証されているからと言って、全てが認められるとは言えません。

何事にも例外は存在し、副業を行う上で一定のルールを守らなければ、ご自身の立場を悪くするばかりか、取り返しのつかない処罰を受ける恐れがある事も事実です。

以下に副業が禁止になった背景、知らなかったでは済まないルールについて紹介したいと思います。

副業行為に対する懲戒が正当な行為として認められるケース

上記で副業の正当性について紹介しましたが、就業規則を無視して副業しても、問題ないとは言い切れないケースもあります。

以下に実例をあげ紹介したいと思います。

  1. 本業に支障をきたす事が明らかな場合
  2. 副業が本業との競合関係になる場合
  3. 本業の守秘義務違反を犯す場合
  4. 違法な仕事をして会社の品位を落とす恐れある場合(風俗など)
  5. 同僚に副業の商品を進め、風紀を著しく乱す場合(ネットワーク商材等)

要約をすると、副業行為が企業の財産(知的財産含む)を侵害する行為や、企業ブランド、風紀を著しく損なう恐れがあると判断される場合になります。

例外・公務員の副業

前途に憲法で職業選択の自由が保障されていると記載しましたが、国家(地方)公務員の場合、国家公務員法・地方公務員法により、副業が禁止されています。

理由は、公務員が国民の奉仕者であることであります。公務員は、職務の中立性や強度の高い公正を要求されます。

つまり、副業禁止により、特定業種に利益をもたらされる事を防いでいるという事です。

これに抵触した場合、免職・停職・減給・戒告等の懲戒処分を受ける恐れがあります。

しかし、最近では公務員も一定条件の下、副業が許可されるケースもあります。

2017年4月には、神戸市が一部の副業許可基準を明確化します。これは「地域貢献応援制度」という制度で通達が行われました。

その背景には、災害時の復興作業を行う上で、大切な役割を担う、地域団体やNPO団体で深刻な人出不足を理由に持続的な活動が難しくなった事があげられます。

こうした地域の課題に、より柔軟に対応する為に、公務員が報酬を得て地域活動に従事可能になったということです。
上記の様な理由で副業をしたい場合は、職場や上司に相談することで許可が降りる可能性があります。

まとめ

副業は単な収入のアップだけでなく、他業種や他企業と関わる事で、スキルアップした事を本業にフィードバックする事で得られる躍進が期待される側面を持ちます。

しかし、日本ではまだまだ少数派であり、企業の上層部では余り良い印象を持っていない企業も多々あります。

副業は憲法で保証がされているからと言っても、隠れて副業を始めれば余計なトラブルが生じる恐れがあります。
こうしたトラブルを防ぐ為にも、副業を始める前に就業規則の確認や上司に相談してみる事もオススメです。

なぜなら副業禁止の企業の中でも、在宅ワークや業種によっては許可を出す等の対応をしてくれるケースもあるからです。

本業と副業のバランスをとり、自分に合った労働スタイルをとる事は、現代社会において新たなライフスタイルと言えるのではないでしょうか。

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