結論:給料をモチベーションにしないほうがいい

転職知識

「仕事はきついが、給料が高いためこの仕事を続けている」

実際、給料をモチベーションに働いている人は多いのではないでしょうか。
私自身、前職では給料をモチベーションに働いていました。

労働時間が長く、プライベートな時間もあまり確保できないような、いわゆるブラック企業でしたが、賞与ももらっており、給料をモチベーションに割り切っていたのです。
しかし、仕事に対してのやる気は全くわかず、仕事が早く終わってほしいという気持ちで毎日過ごし精神的に限界を迎えていました。

このように給料をモチベーションにしても、自分がきつくなるばかりで、人生の幸福度は低くなってしまうのです。

そのため、仕事において給料をモチベーションとすることは避けたほうがいいでしょう。

給料の高さは仕事のモチベーションを下げる

給料の高さは仕事のモチベーションに悪影響を及ぼします。
心理学でアンダーマイニング効果というものがあります。

これは、内発的に動機づけられた行為に対して外発的な動機づけを行うことによって、モチベーションが下がってしまう現象を意味する心理学用語です。

「内発的動機づけ」とは、内面から湧き出る興味や関心により行動することを指します。
例えば、ボランティア活動や興味がある分野を自ら勉強することなどが「内発的動機づけ」にあたります。

一方「外発的動機づけ」とは、報酬や賞罰など外から与えられるものにより、行動することを指します。

例えば、お小遣いをもらってお使いに行くことや、テストで良い点をとれば好きなものを買ってもらえるなどが「外発的動機づけ」にあたります。
そして、「自分が興味や関心から行動していたことを、報酬や賞罰などを与えられることによってやる気をなくしてしまう」
それが「アンダーマイニング効果」です。

例えば、あなたが友人に勉強を教えていたとします。
あなたは人に勉強を教えることが好きで、勉強を教えることで友人に感謝してもらえることが大きな喜びでした。

ある時友人が、日頃のお礼として食事を奢ってくれました。

またある時には、飲み物やお菓子を買ってくれます。

そして、いつしかあなたの勉強を教える目的は、友人からもらえる報酬になってしまいました。

最初は、友人から感謝してもらえることが喜びだったのが、報酬なしで勉強を教えることにやる気を出すことができなくなったのです。

仕事においても同じことが言えるでしょう。

  • 営業成績が良ければ給料が上がる
  • 給料が高いところに転職する

給料をモチベーションにすると短期的にはやる気は高まるかもしれませんが、長期的には仕事へのやる気はなくなってしまうのです。

私の場合も、前職では給料をモチベーションにし、毎年ある昇給やボーナスを目的に仕事を続けていました。
結果的に仕事の目的がお金をもらうことになり、仕事自体にやりがいを感じなくなってしまったのです。

何をモチベーションに働けば良いか

では、仕事において何をモチベーションに働けば良いのでしょうか。

ここで重要になるのが、マズロー欲求階層説です。

マズローの欲求階層説とは、アメリカの心理学者、アブラハム・マズロー(1908〜1970)が提唱した「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されている」とする心理学用語です。

マズローの欲求階層説によると、人間の欲求には「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」の5段階があります。
そして、5つの欲求にはピラミッド状の階層に分かれており、低次の欲求が満たされるごとに、もう1つ上の欲求をもつようになります。

例えば、「生理的欲求」が満たされれば、次に「安全の欲求」を持つようになります。

5つの欲求の説明は、下記の通りです。

「生理的欲求」

食欲や排泄欲、睡眠欲、性欲など、最低限生命維持をしたいといった欲求

「安全の欲求」

安全な家で暮らしたい、治安の良いとこで暮らしたいなど、生きていくうえで危険にさらされることなく、安全に暮らしたいといった欲求

「社会的欲求」

会社や家族など、社会的集団に所属し、孤独を避け安心感を得たいといった欲求

「承認欲求」

所属した先で、他者から自分という存在を認められたいといった欲求

「自己実現の欲求」

自分がやりたいことを実現したいといった欲求

そして、この「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」が外発的動機にあたり、「承認欲求」「自己実現の欲求」が内発的動機にあたるのです。
給料をもらえることにより経済的に安心して暮らせるため、給料や報酬はマズローの欲求階層説でいうところの、「安全の欲求」にあたるでしょう。

したがって給料をモチベーションにしてしまうことで、マズローの欲求階層説の下から2番目の欲求までしか満たせていないことになります。

これでは、高次の欲求まで満たせていないため、長期的に見れば、仕事のモチベーションは下がってしまいます。

そのため、私たちは仕事において、内発的動機である「承認欲求」や「自己実現の欲求」をモチベーションに置くべきです。

私の場合も、前職に比べ年収にして120万円ほど下がってしまいました。

しかしながら、会社に貢献したいと思えるような仲間と仕事が一緒にでき、自分の仕事の裁量権をある程度もらっている現職では、やりがいを感じながら仕事ができています。

  • 自分のやりたいことと仕事がしっかりとマッチしている
  • 仕事仲間に恵まれ、自分が組織に必要とされているといった感覚がある

確かに最低限生活できるレベルの給料は必要です。

しかし、給料をモチベーションにするのであれば、結局のところ、ある程度の給料さえもらえれば、どんな仕事でも良いということになってしまいます。

生活の質、人生の幸福度を高めるためにも、給料をモチベーションにすることはやめましょう。

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