安定しているという理由で、近年大学職員志望者が増えています。
しかしながら、仕事に対する具体的なイメージがないため、エントリーシートや面接についての対策をしっかりしている転職者が少ないのが現状です。
人気の大学では倍率も100倍を超えるため、エントリーシートや面接対策がしっかりできていない状態で受験すると簡単に落ちてしまうのです。
大学職員というとなんとなく「学生のサポートをする」というが強いと思います。
私も職業を聞かれた際に「大学職員です」と答えると、「え、大学の教授ですか?」と聞かれることも多々ありました。
このように大学職員という職業は世間一般的にあまり認知されておらず、なかなか情報も出回っていないのが現実です。
そのような状況で大学職員へ転職するためには、大学職員という職業に対する理解が最も重要なのです。
では、大学職員とはどのような職業なのか。
一言でいえば、大学で行われる教育と研究を支援する職業です。
教育と研究を支援するために、大学職員の業務は多岐にわたり、以下のとおり様々な部署があります。
- ①学生支援
- ②教務
- ③入試・広報
- ④会計・庶務
- ⑤人事・労務
①学生支援
一番イメージしやすいのは、学生支援の業務かと思います。
学生支援は、奨学金関係や学生保険の手続き、サークルや寮関係、その他学生に関する全ての業務をこなしていきます。
学生と窓口で接することが多く、やりがいを感じられる部署なのではないでしょうか。
②教務
教務は、履修登録や授業関連のサポート、定期試験、資格関係の申請業務などがあります。
大学のコアとなる部署で、学生と教員の両方の支援をしていきます。
学生の進級や卒業に関わる業務をするため、ミスが許されない部署でもあります。
③入試・広報
18歳人口が減少しており、どこの大学も入学者確保に非常に苦戦している中、重要な部署となっているのが入試・広報です。
主な業務は名前のとおり、入試と広報に分かれます。
入試業務は、願書の受付や入学試験会場の準備をします。
広報業務は、オープンキャンパスや高校訪問を通じて、高校生に対して大学の魅力を伝え、受験者を獲得していく部署です。
少子化の影響でどこの大学も受験生獲得競争が激しいため、これからの時代ますます重要になっていくでしょう。
④会計・庶務
会計業務は、授業料の支払いが遅れている学生に対して督促を行ったり、教職員が物品を購入する際の精算を行ったりと、お金に関する業務を行います。
庶務は、それぞれの大学で役割が異なりますが、施設の修繕や管理、学校行事等の準備をします。
⑤人事・労務
人事・労務は、教職員の採用に関する手続きや、保険の手続き等を行います。学生のサポートというよりは、教職員のサポートが主な業務です。
このように大学には、幅広い業務があります。
学生が好きで学生のサポートをしたいという志望動機では、大学の幅広い業務があることを理解していないとみなされ不合格となってしまいます。
また、私立大学であれば建学の精神という一般企業でいうところの企業理念があります。
そこに触れずして志望動機を書いてしまうと、「本当にうちに来たいのだろうか」と疑念を持たれてしまうので、建学の精神については触れるようにしましょう。
転職者の場合であれば、前職の経験がどの部署に活かせることができるのかという観点で、志望動機を考えることが重要です。
例えば、前職が営業やマーケティング会社で働いていたのであれば、入試・広報で受験生の集客に大いに貢献できるでしょう。
一部の大学を除いては、ほとんどの大学でIT化が進んでいません。前職がシステムエンジニア系の会社に勤めていたのであれば、大学の非効率なロジックをつくことで業務を改善できることもアピールできます。
また、研修制度を導入している大学は少なく、基本OJTといったいわゆる仕事をやりながら覚えていくという風潮が強いため、転職者には特に即戦力が求められています。
そのため、新卒と既卒者の一括採用を行っている大学では、前職の経験がある転職者の方が有利だと言えます。
このように大学職員という職業を理解し、前職の経験をどう活かせるかを伝えることで、採用にグッと近くことができるでしょう。
具体的な転職活動の流れ
転職活動の流れとしては国立大学、公立大学、私立大学で採用の仕方が違います。
①国立大学の場合
国立大学の職員採用試験は、九州地区や関東地区などの地区ごとで実施されます。
地区ごとで実施される筆記試験(公務員の教養試験地方上級レベル)に合格すれば、筆記試験に合格した地区の大学の受験資格が得られます。
例えば、関東地区で筆記試験を受験し合格すれば、東京大学や千葉大学の試験を受験することができます。試験日が被らなければ、東京大学と千葉大学を同時に受験することも可能です。
ただし、関東地区で筆記試験を受験し合格したとしても、他の地区の大学を受験することはできないため注意が必要です。
一次試験の筆記の倍率は地区によってバラバラですが、だいたい6倍から10倍ぐらいの倍率で、二次試験についても多くて10名程度しか採用しないため、かなりの覚悟が必要でしょう。
また、令和2年度の受験資格について、1990年4月2以降に生まれた者という年齢制限もあるため、国立大学職員採用試験を考えている転職者は特に年齢について注意が必要です。
②公立大学の場合
公立大学の職員採用試験は、各大学で実施されます。
おおまかな流れとしては、一次試験が筆記試験(公務員の教養試験地方中級レベル)で、二次試験以降は集団面接や個別面接であることがほとんどです。
国立大学の試験と同様で、年齢制限を設けている場合があるので注意が必要です。
③私立大学の場合
私立大学の職員採用試験は、民間企業と同じような流れで採用試験が行われます。
書類選考から始まり、書類選考が通れば、一次試験の受験資格が得ることができます。一次試験は、一般常識などの筆記試験です。
二次試験以降は各大学によって採用方法がバラバラで、集団面接や個別面接、グループディスカッションなどがあります。大学によっては五次選考まであるため、転職者にとってはかなりハードなスケジュールになるでしょう。
また私立大学も各大学によりますが、書類選考だけで100倍の倍率というところもあるため、非常に狭き門と言えます。
新卒枠で募集していたり、中途枠で募集していたりするため、転職者は受験を考えている大学のホームページを常にチェックしておくことがおすすめです。
以上が、法人ごとの大まかな受験の流れですが、いずれにせよ大学職員の採用試験は狭き門であるため、転職者は相当な覚悟が必要になります。
大学職員の転職活動に関する情報収集の方法
大学職員の転職活動に関する情報収集は、以下のとおりです。
- ①本
- ②各大学のホームページ
- ③インターネット
- ④SNS
①本
大学職員になるための転職活動のノウハウ本といったものは、ほぼないのが現状です。
しかし、大学という組織や大学の取り組みについての本は数多く出版されているため、大学で働くイメージをつけるために読んでみてもいいかもしれません。
②各大学のホームページ
エントリーシート作成や面接対策で参考になるのが受験する大学のホームページです。
大学のホームページには、建学の精神や教育理念、教育や研究活動が載っているため、必ず目を通してください。
③インターネット
インターネット上で、実際の大学職員が情報を提供しているサイトがあります。
中でもおすすめなのが「大学職員への道」というサイトです。
本サイトは、様々な大学の求人状況が随時更新されていたり、各大学の試験内容の情報提供がされたりしており、非常に参考になります。
④SNS
今の時代だからこそSNS、特にTwitterで情報収集するのがおすすめです。
現役の大学職員がTwitterで有益な情報を発信しており、大学職員という仕事について理解するのに非常に役立ちます。
「大学職員」とTwitterで検索をかければ、大学職員のアカウントが出てきますので、ぜひフォローしてみてください。