- パワハラで辛い。転職しようかな
- パワハラ上司が怖い。こんな毎日から早く抜け出したい
こんな気持ちを抱えながら、毎日がんばりすぎていませんか?
「はやく環境を変えたい」、「今すぐ怖い上司から離れたい」と思っている人なら誰でも、転職を考えたくなるのは当然のこと。
でもその前に『正しい知識を得た上で、冷静に考えて選択する』ことがとても大切です。
なぜなら、そうすることで自分への信頼や自信を失わずに次のステップへ進めるから。
パワハラの知識を知らずに退職して後悔したり、転職活動するにも身が入らなかったり・・
そんな状況を避けるために、まずはパワハラの正しい知識を得ることから始めましょう。
パワハラってなに? 押さえておきたいパワハラの見分け方
職場でのパワハラ(パワーハラスメント)とは、「職場の優位性や権力を使った嫌がらせ」のこと。
でも、指導なのかパワハラなのか、わからなくなってしまうことってありませんか?
“毎日上司に怒鳴られてばっかり。なんで私だけ・・・。でも、私のミスが多いから、仕方がないのかな・・・”
“「明日までにやっておいて」って、帰る前に言われても・・・。新人なら当たり前なの?”
“よくできる部下に「そんなことも知らないんですか?」と言われ無視される毎日。上司として知っておくべきかもしれないけど、だからって無視しなくても・・・。”
そんな時、パワハラを見分けるための大きなポイントは「客観的に見てどうか」。
次の例を見てみましょう。
時々、新入社員の田中さんは会社に遅刻します。 上司の木村さんは、田中さんに対して A「何度も遅刻されると困ります。どうして遅れたのかきちんと説明してください。」と強く言った。 B「何度も遅刻を繰り返すお前はゴミだ。だからお前は全く使えないんだよ」と言った。
客観的にみると、Bは明らかにおかしいですね。
さらに厚生労働省は次のように定義しています。
- 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
- 業務の適正な範囲を超えて行われること
- 労働者の就業環境が害されること
田中さんが「ゴミ」や「全く使えない」などと言われることは人格否定です。
これは①上司という優位性を利用した言動であり、さらに②指導や業務の適正な範囲を超えています。さらには、ひどい言動によって、③就業環境が害されます。
他にも、次のチェックリストに当てはまる場合、パワハラの可能性が高いと言えるでしょう。
- 上司から同僚の前で、無能扱いする言葉を受けた。
- 終業間際に過大な仕事を毎回押し付けられる。
- 陰口を言われ、悪い噂を流された。
- 上司から誤った指示があったのに、始末書を書かされる。
- 皆の前で、些細なミスを大声で叱責された。
- 一人ではできない量の仕事を押し付けられた。
- 物を投げつけられて、身体に当たった。
- 先輩・上司に挨拶しても無視され、会話してくれない。
- 達成不可能なノルマを与えられる。
- 「役立たず」「あほ」「バカ」「給料泥棒」などと言われる。
(厚生労働省あかるい職場応援団より)
今年(2020年)6月に改正された法律では、事業主のパワハラ対策が義務となりました。(中小企業では、2022年6月から義務となります。)つまり、パワハラの問題に対して、会社側は見て見ぬふりはできませんし、パワハラ防止対策をしなければならないということ。
正しい知識を身につけることは自分を守ることにつながります。積極的に情報収集をしていきましょう。
パワハラ対処法 経験談を踏まえて
これは私の経験談です。異動してきた上司から2年間パワハラにあいました。
当初は気に入られていたのですが、急に態度が一変。挨拶も無視、顔を見て話さない、私の机に激しい音を立てて資料を置く、などの嫌がらせが始まり、「いつも要領が悪い」「何年やっても成長しないな」など言われることもありました。
上司はたまに気分よく話しかけてくるので、なるべく機嫌を損ねないようにと、気を遣う毎日。かなり辛かったのを思い出します。
頻繁に腹痛や胃痛の症状が出だした頃から、転職も頭をよぎりました。でも、上司以外の人間関係は良く、仕事がおもしろかったので、辞めたくはなかったのです。
ある日見つけた労働相談に匿名で相談してみたところ、私が受けていたのはパワハラと分かって、自分が悪くなかったと安心しました。
労働相談でのアドバイス通り人事担当者へ相談すると、上司はパワハラの問題を繰り返していたと聞きました。私から相談があったことは触れずに、会社側から、上司へ指導が入ることに。また、その後、私は希望通り上司とやり取りのない業務へ転換となりました。
今思えば2年間も我慢せずもっと早くに相談しておけばよかったと感じています。迷いましたが、相談をしたことで解決の糸口がつかむことができました。
次に、経験から学んだ“すぐにできるパワハラ対処法”をまとめます。
対処法① 相談する
まずは一人で抱えずに相談をすることです。社内で相談する場合、会社の対応も大きなポイントです。たとえば、「相談しても取り合ってくれない」、「あなたにも非があったのでは?と言われた」などは対応としてアウト。
真摯に受け止め、対応する姿勢があるのか、会社への信頼感は仕事を続ける上で大きなポイントになるでしょう。
社外の相談窓口を利用する場合、各県の労働局、労働基準監督署に「総合労働相談コーナー」があります。
ここでは、相談を無料で受けられ、必ず秘密は守られるので、安心です。
ぜひ参考にしてください。
対処法② 証拠集め
相談とともに「証拠集め」も重要です。テープレコーダーに録音する、言動をメモしておく(日付、言動内容、誰に)など、パワハラの実態を記録に残しましょう。
記録があると、その後の相談もスムーズに進みます。記憶があいまいになっていたとしても、思い出せる限り記録しておくことがおすすめです。
転職するか、現職に留まるか 決断するための2つのポイント
決断のポイントは「現職に留まるメリットは何か」「働く上で何を大切にしたいか」です。
それらを書き出して、整理してみましょう。
ポイント① 現職に留まるメリット
やりがいある仕事、安定した収入、良好な人間関係(パワハラをする人以外の)など、現在の職場、仕事に対するメリットはなんですか?どんな小さなことでも思い浮かぶものを書き出しましょう。
ポイント② 働く上で何を大切にしたいか
そもそも、働く上で大切なことはなんですか?どんな仕事をして、どんな働き方をしたいのか。今の仕事を始める前に描いていた働き方は実現できていますか。
「現職に留まるメリット」がたくさんあればある程、辞めてしまうと後悔する可能性が高いですね。
また、「現職に留まるメリット」と「働く上で何を大切にしたいか」を見比べて、重なる項目がある場合、パワハラが解決されたなら、現職はあなたにとって良い職場と言えるでしょう。
反対に、重なる項目がない場合や、現職に留まるメリットがなければ、きっぱりと転職活動を始めてみましょう!
パワハラで退職・・気になる転職理由の伝え方
転職理由として面接時にパワハラを告げるべきかを悩む人も多くいますね。
様々な意見がありますが、直接的な退職理由としてパワハラを伝えることは得策ではないようです。
なぜなら、短時間の面接で、身に起きたパワハラに理解を示してくれる面接担当者ばかりではないから。
もし告げるとしても、自身のキャリアアップやスキル向上など、ポジティブな転職理由を合わせて伝えるようにしましょう。
まとめ
最後に、休職も大切な選択肢であることをお伝えします。
「もう無理!」と体も心も限界になっているのに、がんばり続けていませんか? 勇気がいるかもしれませんが、体調や心の状態によって「休職」も大切な選択肢です。
パワハラの被害にあうと、誰もが元気を奪われてしまいます。理不尽なパワハラ被害によって、これ以上心をすり減らす必要はありません。最優先にすべきは、自分の心と体を大切にすることです。
「今すぐにでもパワハラから逃げたい」と思う気持ちは当然。しかし、同じ状態が一生続くことはなく、今は通過点です。
しっかりと自分の気持ちに向き合った上で決断すれば、前に進む原動力になります。
後悔のない選択をするため、一人で抱えこまずに、気持ちに正直に冷静な決断を。
今できる小さな一歩から動き始めましょう。