所得税についてと言われると分かるような、分からないようなという感じではないでしょうか。
給与からもなんとなく控除されてはいますが、仕組みも複雑でなかなかとっつきにくいイメージもあると思います。
しかし所得税の知識を持って正しく手続きするのとそうでないのとでは税額に大きな差が出る場合もあります。
なんとなく仕組みを知っておきたい方から節税したい!と思ってる方までこの記事を読んでいただければ所得税の仕組みが分かります。
所得税はどのように計算されているのか
今回は一般的なサラリーマンの給与で引かれる所得税について説明いたしますので甲欄での計算となります(甲欄とは扶養控除申告書を提出する主たる給与の支払先のことです)。
毎月の給与から引かれる所得税は給与明細と扶養の人数を確認できれば計算できます。
国税庁のホームページより「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について」を検索します。
この表に沿って計算します。
次に各種控除項目を算出
給与所得控除
給与明細より総支給から非課税の交通費等と社会保険料を引いた額(以下A)の該当する第1表の区分の計算式で算出します。
配偶者扶養控除
扶養控除申告書で申請した配偶者扶養親族の数×31,667
※本人が寡婦や障害者などの場合人数に1加える
基礎控除
第3表よりAの額の該当する区分から算出
最後にAから給与所得控除額、配偶者扶養控除額、基礎控除額を引いた金額を第4表の該当する区分の計算式で計算することで所得税額が算出されます。
年末調整について
月給の所得税の計算方法について紹介しましたが月給の所得税の計算はあくまで概算です。
概算で控除し年末調整によって算出された確定額との差額を還付もしくは徴収する仕組みです。
ちなみに年末調整は1月から12月の給与額(賞与も)で計算されます。実際の計算方法を簡単にまとめました。
- 一年間の課税対象額を計算
- 各種控除を引く
- 税額を算出
といった流れになっています。計算の過程としては月給の計算と変わりませんが控除の数が多かったり、詳細な計算方法はかなり複雑です。
控除とは
所得税の計算は対象となる額から各控除を引いた額によって計算することはお判りいただけたのではないでしょうか。
つまり控除する額が多ければ多いほど所得税も少なくなりますので控除の種類などについて説明していきます。
寡婦(寡夫)、障害者、勤労学生
働いている本人について生活環境による負荷を軽減するための控除です。
配偶者や扶養親族などと比べ見落とされがちです。
- 寡婦(寡夫)控除(控除額27~35万)
→シングルマザーなどが対象となる。給与所得や子の扶養家族が要件となる - 障害者控除(控除額27~40万)
→障害の内容や等級により分けられる - 勤労学生(控除額27万)
→働きながら学校に通っている人(給与所得要件あり)
配偶者控除・配偶者特別控除(控除額1~38万)
配偶者控除は年々制度も変わりとてもややこしくなっています。
平成30年から納税者本人の給与所得要件が加わりました。
対象としては納税者本人の所得額が1000万円以下で配偶者の所得が133万以下の方となります。
扶養控除
いずれも所得額が103万円以下という条件ですが、年齢などによって細分化されています。
子供(控除額38~63万)
中学生まで年少扶養(税控除無し)高校生(扶養親族)大学生くらい(特定扶養)その後扶養親族扱い
両親(控除額38~56万)
基本的には扶養親族扱いとなるが年齢が70歳を超えると老人扶養親族となり同居かどうかにより控除額が増える。
兄弟(控除額38万)
扶養親族扱い
配偶者や扶養控除については以上になります。
この控除は毎年年末あたりに会社へ提出している扶養控除申告書の情報をもとに控除していますので、内容に誤りや漏れがないかいま一度確認してみてください。
なお、各控除は概要として記載してますので実際に記入する際は用紙の裏側などに書かれた詳細を確認したうえで記入してください。
保険料控除
保険料控除とは生命保険料控除と地震保険料控除のことです
。生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の1年の支払額に対して所定の計算式で計算した額を控除できます(各控除5万まで最大12万まで)。
地震保険料については地震保険や長期損害保険料を所定の計算式で算出します(最大5万まで)。
社会保険料控除(上限なし)
本人の給与で控除された社会保険料とは別で、家族が支払うべき国民年金や介護保険料等を支払った場合、支払金額を控除することができます。
小規模企業共済等掛金控除(上限なし)
小規模企業共済等の掛金を支払った場合、控除することができる。
住宅ローン控除
住宅ローンを借りて家を購入した場合に控除できます。今まで紹介したものと違い、給与所得から控除されるのではなく、算出した所得税額から直接控除するという点で大きな減税が見込めます。
ここに書いてある控除をすべての人が受けれるわけではありませんが、年末調整の際に書いていた扶養控除申告書や保険料控除申告書に間違いや漏れがないか確認してみてください。
どのくらい安くなるの
各種控除について説明しましたが、じゃあ一体どれくらい減税、節税になるの?ということが気になるのではないでしょうか。
しかし今までの説明でお気づきの方もいるかもしれませんがどれくらい安くなるのかは、もともとの所得によって変わるので一概には言えません。
まとめ
記事を読んで今すぐ大きな節税ができるというものではありませんが、いろいろな変化があった際にどうすべきかの、目安くらいにはなるんじゃないかと思います。
また扶養家族の稼ぎすぎなどで追徴課税されるケースも見受けますので、損しないための知識としても参考になればと思います。