転職する際、事前に把握しておきたいことの1つとして、年金手続きがあります。
ひとくちに年金といってもいろいろ種類があり、実はよく分かっていない…という方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は『転職時は必ず確認!パターン別、各種年金手続きについて』まとめてみました!
公的年金について
年金には、国が用意する公的年金と呼ばれるものとして、国民年金と厚生年金があります。
国民年金
20歳以上60歳未満のすべての人が加入している、基礎年金です。
自営業やフリーランス等の国民年金のみに加入する人は、日本年金機構から自宅へ送られる納付書を使って、自分で保険料を支払います。
保険料は、令和2年度は月16540円となっています。
厚生年金
会社員や公務員等は、厚生年金へ加入します。厚生年金には基礎年金である国民年金が含まれます。
保険料は会社と本人で折半となりますが、収入が多くなると保険料の負担は増え、その分受け取れる年金額も大きくなります。
厚生年金へ加入する人に、扶養する配偶者がいる場合は、配偶者分の保険料を支払うことなく、基礎年金を受け取ることができます。
扶養する配偶者がいる人が厚生年金から国民年金へ切り替える場合は、別途配偶者分の切り替え手続きもして、以降保険料を支払う必要がでてきます。
2パターン別、転職時の公的年金手続き
退職~転職先への入社までに空白なし
転職先へ年金手帳を提出するだけでOKです。
月末に退職して翌月中に転職先へ入社
保険料の負担はありませんが、退職から転職先への入社までに1日でも空白があると、国民年金第1号資格取得の手続きが必要とされているため、市町村役場へご相談ください。
転職先へ入社後は、転職先へ年金手帳を提出するだけでOKです。
(参考:日本年金機構)
月の途中に退職して翌月中に転職先へ入社
退職した月は、国民年金へ加入し、1ヵ月分の保険料を支払う必要があります。
退職日翌日から14日以内に、年金手帳・離職票等の退職日が分かるもの・身分証明書・印鑑を持参のうえ、市町村役場で手続きしましょう。
転職先へ入社後は、転職先へ年金手帳を提出するだけでOKです。
退職後~転職先への入社までに空白ありor転職先未定
退職後は、国民年金へ加入し、保険料を支払う必要があります。
退職日翌日から14日以内に、年金手帳・離職票等の退職日が分かるもの・身分証明書・印鑑を持参のうえ、市町村役場で手続きしましょう。
転職先へ入社後は、転職先へ年金手帳を提出するだけでOKです。
空白期間があることで保険料の支払いが厳しいという場合は、減免制度もあるので、市町村役場で相談しましょう。
特に離職期間が長引くようなら、配偶者が会社員や公務員の場合、配偶者の扶養に入ることも検討すると良いです。
その他の年金
企業型確定拠出年金
企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)は、会社が毎月掛金を積み立てて、本人は定期預金や投資信託等の商品を選び資産の運用をし、60歳以降に受け取るというものです。
退職する会社が企業型DCを導入していて加入しているという場合、転職先にも企業型DCの制度があれば、転職先で移管手続きをしてもらうことになります。
転職先が企業型DCを導入していない等、改めて企業型DCに加入しない場合は、自分で個人型確定拠出年金(以下、ideco)への移管手続きをする必要があります。
idecoへ移管するにあたっては、金融機関によって、手数料、運用商品、サービス等が異なるので、よく比較検討されることをおすすめします。
ただし、移管手続きの期限は退職後6ヵ月以内とされていて、期限に遅れると、本来支払う必要のない手数料が発生する等のデメリットがあるので、忘れないようにしましょう。
確定給付企業年金、厚生年金基金
退職時に、退職金として支払われることが一般的ですが、退職する会社や転職先の制度によるところが大きいので、まずは退職前にしっかり確認しておくようにしましょう。
まとめ
公的年金(国民年金、厚生年金)は、
- 退職~転職までに空白がなければ、転職先へ年金手帳を提出するだけでOK
- 月の途中に退職し翌月中に転職する場合、退職月は国民年金へ加入&1ヵ月分の保険料を支払う
- 月末に退職し翌月中に転職する場合、保険料は必要ないが、1日でも空白があると国民年金第1号資格取得の手続きが必要
- 退職~転職までに空白ができるor転職先未定なら、原則として国民年金へ加入
その他の年金は、
- 企業型DCへ加入している場合、転職先で企業型DCがあれば転職先で、改めて企業型DCに加入しないなら自分でidecoへ、移管手続きをする
- 確定給付企業年金&厚生年金基金は、退職前にしっかり確認しておく
転職時には仕事以外にもやるべき手続きが多くて大変ですが、年金手続きを忘れると、未払いとなって将来受け取る年金額へ影響してしまうこともあります。
国民年金や厚生年金だけでなく、企業型DC等の年金についても、必要な手続きを忘れることのないよう、事前にしっかり確認と準備をしておくことが大切です。